「これって、なんの役に立つの?」子どもたちの問いが教えてくれたこと

突然ですが、質問です。

「SWOT分析」と聞いて、ワクワクしますか?
私はSWOT分析ではしません。

フレームワークを教えたら、”スん・・・”となった

経営の思考力を身につけてほしくて、子どもたちに戦略フレームワークを教えようとしたことがあります。SWOT分析、バリューチェーン。
準備は万全。資料もバッチリ。自信満々でした。

でも、教えはじめてすぐに気づきました。

「先生、これって……なんの役に立つんですか?」

そんな声が聞こえた気がしました。

目の前の子たちは、純粋に、「これが自分とどう繋がるのかわからない」という顔をしていました。

「すぐ使えない」と「親近感がない」の二重苦

少し立ち止まって考えてみました。なぜ伝わらなかったのか。

ひとつ目の理由は、「すぐに使う場所がない」ということ。大人なら、明日の仕事やプロジェクトに使えるかもしれない。でも子どもたちにとって、経営学の考え方を使う場面って……なかなかパッと思い浮かびませんよね。学んでも、しまいこまれてしまうんです。

ふたつ目の理由は、「親近感が持てない」ということ。マイケル・ポーターと言われても、誰?という感じ。概念として正しくても、「自分ごと」になっていない知識は、まるで空気みたいにすり抜けていく。

知識は「情報」として入っても、「意味」として残るには、感情と結びついている必要があるなとおもいました。

じゃあ、どうする? ——ストーリーを入口にする

そこで考えたのが、「人物・技術・会社の歴史」を入口にするアプローチです。

たとえば、スティーブ・ジョブズがなぜアップルを復活させられたのかを話すと、子どもたちの表情が変わります。「へえ、一回追い出されてたんだ」「それでも戻ってきたの?」と、前のめりになる。そこで初めて、「そのとき、彼がやったこと、実は『選択と集中』という戦略なんだよ」という話が自然と入ってくる。

フレームワークから入るのではなく、ストーリーからフレームワークへ。

人は感情が動いてはじめて、思考が動き出す。それをしみじみと感じました。本田宗一郎がバイクに情熱を注いだ話、任天堂がトランプ会社から始まったという意外な歴史、シャネルが女性のファッションの概念をひっくり返した革命……。どれも、ただの「企業の成功事例」ではなく、「人が何かを信じて、泥臭く進んだ物語」です。

ストーリーは、知識を「記憶」から「体験」に変える魔法です。

戦略的思考は、生き様から学べる

「戦略的思考力」というと、なんだか難しそうに聞こえます。でも本質は、「どうすれば上手くいくかを、状況を見ながら考え続けること」だと思います。

それって、歴史上の人物や企業が、まさに毎日やってきたことじゃないですか。

失敗して、立て直して、時代の流れを読んで、選択して。そういう生き様の中に、戦略的思考のエッセンスが凝縮されている。だから、ストーリーを学ぶことは、思考力を磨くことと、実はイコールなんだと気づきました。

悠揚館ではこれから、そんな「物語から始まる学び」を大切にしていきます。偉人の判断、企業の転換点、技術革新の裏側。そういうワクワクする話を入口に、一緒に考え、戦略的に物事を見る目を育てていきたいと思っています。

「これって、なんの役に立つの?」

この問いに、胸を張って答えられる場所にしていきます。